夜久物語


戻る

●ゲーム詳細
ゲーム名 夜久物語
メーカー 観彩道
備考 同人
夜久物語に出てきた単語の辞書




●製品紹介

時は寿永2年(1183年)、源義仲に追われた平家が都落ちをした年だ。
ちょうど、平安が鎌倉という新時代に名前をのっとられそうな時期である。

 ただ、この年、都落ちすることもできず、滅亡してしまった一族がある。
京から一里ほどしか離れていない氷室の集落を根拠地にしていた夜久野(やくの)氏である。

後世に残る記録によると……

この一族は山伏に扮した武士に攻められ、一夜にして滅んだということだけが書かれている。
羽の生えていた異形のものがいたとか、血をすするものがいたとかいうのは、
殺戮を正当化したい人間の捏造だろう。
一門はことごとく、首を斬られ、河原にさらされたという。
わずかに、十歳になる若君と八つになる姫君の死体だけは出てこなかったというが、
首もとられずにどこかでのたれ死にしたのだろう。

以上『上沢寺(しょうたくじ)所蔵文書』によった。

 しかし、これは全くの妄想なのだが、その二人が仮に生きのびているとしたら。

彼らが本当に羽が生え、血まで飲んだような異形の一族だとしたら。

そんな彼らが平成の世まで何らかの手段で存命したとしたら。
(異常に寿命が長いとか、時間を飛ばされたとか、この際理由は何でもいい)

 もちろん、馬鹿げた話だ。ただ、考えてみるだけならタダだし、罪にもならないだろう。
こんな話は、戯れ言として忘れていただきたい。そんな人間いるわけがないのだから。


 ところで、あなたの友達は、本当に人間でしょうか?

(Official Home Pageより)


●評価一覧
点数評価 シナリオ キャラ グラフィック エロ 音楽 ボイス 効果・演出 ゲーム性 システム
30 - - -
 何と形容するのが最も適切であろうか。秀作ではないし、佳作とも言いがたく、傑作ではもちろんない。力作、という表現が最も近いが、残念ながら賞賛に値する水準ではない。
 ある事情により、俺はこのゲームの作成陣と深い関わりを持つのだが、そういった親身な思いがあっても、あまり勧められるようなクオリティではないと思う。

 話の舞台は現代であり、そしてあらすじでも分かる通り、古い時代の出来事が密接に関わってくるいわゆる「伝奇」、さらにこのゲームについては、歴史的事実を踏まえた「深い伝奇」になるが、まず俺はこのジャンルが好きではない。「歴史」というのは、能動的に興味を持って動かなければ決して知りえない分野である。学校の教科書以上の知識は、自分で文献をあたって既知でなければならない。
 そうした暗い分野で繰り広げられる話というのは、果たして人物の機微が正当なものなのか、用いられた機構が正当なものなのか、混乱してしまう。「そんなんおかしいやろ・・・つーかわからん」というストレスは、「そういうものなのか」という諦観に置き換えられ、物語への感情移入をひどく拒む。

 まあそうした選民性ならぬ選プレイヤー性は「伝奇」全般の問題であり、この作品特有のものではないのでいいとしよう。
 細部を見たい。全体的に「同人」ゆえの完成度の低さ、妥協が見えてしまうが、中でも絵は特にひどい。立ち絵の質に差がありすぎる。見れなくはないのだが、過去にやってきたどんなゲームよりもレベルは低かった。絵師のスキルを磨いてもらうか、人材を変えないと見るに耐えないし、確実にゲームの足を引っ張る。長編になれば、最後までプレイしてもらえる率もグッと下がるだろう。あるいはもっとデフォルメして誤魔化したらどうか。
 次にシナリオに言及したい。歴史的な背景を除けば、とてもありきたりな話である。先の展開を隠す技術が欠けているので、先の読めないスリルを味わうことも叶わない。
 ギャグをふんだんに散りばめた地の文および主人公は面白いのだが、これも素直に賞賛できない要素である。まず全てのキャラクターが同じセンスをしている。キャラクターの使い分けができていない。全員が主人公の思考回路をコピーしたようなセンスをしているので、違和感がずっと拭えない。次に、シリアスなシーンでも平気でふざけギャグを入れているのが信じられない。いくらなんでも所構わなすぎ。そして、ダラダラとしている。ギャグはいいのだが、垂れ流しのようにテキストが表示されていく。趣きに欠ける。
 歴史的背景自体は、よく調べられているなという印象は受ける。正しいかどうか分からないけど。この裏打ちを見るに、ライターが単に慣れてないだけなのかもしれない。今後に期待したい。

 音楽については、どんなものだったか思い出せない。
 手抜きだなあという印象だけが残っている。

 システムも、NScripterのデフォルト設定そのまま、デバッグもほとんどせず、という感じ。文章中に文字化けさえあった。スペースキーを少しでも長く押していると、テキストが流れていってしまう。改善が望ましいだろう。

 次回作に期待したい。